プレッブミラー

プラークコントロール指導時には、

患者様に口腔内をよく見ていただくことが望ましいと思います。

 

舌側や口蓋側を見ていただくときには、

私はプレッブミラーを使っています。

 

診療用のミラーよりも大きく、

口腔内で操作しやすい形態になっています。

 

舌側に沈着しているプラークや歯石、ステイン、

歯肉の炎症などを実際に見ることで、

プラークコントロールへのモチベーションを高めていただくことを狙っています。

プラーク染色時にも、染色部位を確認するなど、

効果的に活用することができます。

 

歯間ブラシの指導のコツ

歯間ブラシを指導すると、前歯部ではできても、

臼歯部では、上手く挿入できないと患者様に言われることがあります。

デンタルフロスと同様に、歯間ブラシのワイヤーと、

挿入したい隣接面が平行になっていないと

歯間ブラシが挿入しづらくなります。

L字型の歯間ブラシを指導する場合は、

前歯部と臼歯部とのホルダーの向きの違いから

患者様に正しい挿入方向を理解していただくようにしています。

歯間ブラシのサイズ選択

歯間鼓形空隙の大きさの違いから、

複数のサイズの歯間ブラシが必要な患者様に

サイズを使い分けるように指導すべきかどうか迷うところです。

私は、2つの判断基準に照らし合わせて考えるようにしています。

ひとつは、サイズの使い分けが必要な部位のリスクの程度。

例えば、垂直性骨吸収のみられるハイリスク部位であれば、

歯間ブラシのサイズの使い分けの必要性が高いと判断できます。

もうひとつは、患者様のモチベーションの程度。

モチベーションの高まっていない段階で指導をすると、

患者様には負担になると推測できます。

このように具体的な判断基準を持っていると、

患者様に合わせた指導が自信を持って行えるようになります。

BOP率の活用

 

歯周治療では、セルフケアでのプラークコントロールが重要ですが、

プラークコントロールへのモチベーションを高めるためには、

患者様に歯周病の自覚を促すことが求められます。

 

歯周病の自覚を促す手段として、私はBOP率を活用しています。

 

BOP率 = プロービング時に出血がみられた部位数 ÷ 診査総部位数 × 100

BOP率は、10~20%以下が望ましいと考えられています。

 

例えば、患者様のBOP率が50%であれば、

10~20%以下が健康な状態であると伝えると、

歯肉に炎症が起こっていることを

患者様にわかりやすく認識していただけます。

 

プラークコントロールセミナーでは、

BOP率の活用法を詳しくお伝えしています。

 

 

 

 

デンタルフロスの指導

デンタルフロスの指導は、プラークコントロールテクニックの指導の中では、

最も難しいと感じています。

 

最近はホルダータイプのフロスを紹介することが多いのですが、

指に巻く方法でフロスを指導する機会もあります。

 

そのときに注意しているのは、

フロスを巻く指をよく確認することです。

 

フロスは人差し指ではなく、中指に巻きつけた方が

操作性がよくなります。

 

基本的なことですが、患者様に少しでも楽に実行してもらえるような

指導を常に心がけたいと思います。

 

モチベーションアップの具体策

 

歯周治療場面の指導では、プラークコントロールや

スケーリング・SRPの継続来院への

モチベーションを高めることが求められます。

 

モチベーションを高める具体策として、

下記のような例が挙げられます。

 

歯周病が発症、進行している自覚を促すこと

→「検査をすると、奥歯に深いポケットがあるのですね!」

 

歯周治療によって健康回復するメリットの認識を促すこと

→「歯周病を治して、いつまでも自分の歯で食事をしたいと思います!」

 

歯周治療による効果の自覚を促すこと

→「歯磨きを頑張ってから、歯ぐきからの出血がなくなりました!」

 

健康行動の妨げを分析し、取り除くこと

→「L字型の歯間ブラシを使うと、苦手な奥歯までできるようになりました!」

 

上記のように、行動科学に基づいた働きかけを行うことが、

モチベーションアップに効果を上げます。

 

プラークコントロールセミナーでは、

モチベーションを高める具体策を

事例を挙げながらお伝えするようにしています。

 

 

 

補助的清掃用具の指導

 

歯間ブラシやデンタルフロスを指導しても、

患者様に実行していただけないことがあります。

 

補助的清掃用具の必要性を十分に理解していただけていなかったり、

モチベーションが十分に高まっていないことも原因に考えられますが、

技術的に上手くできないことが中断の原因になる場合もあります。

 

中断した原因を患者様にお伺いすると、

「歯間ブラシが歯と歯の間に上手く入らず、ワイヤーが曲がってしまった!」

「フロスが歯の間に引っかかって、なかなか抜けなかった!」

ということを話される場合があります。

 

これらは技術的な問題ですので、

歯間ブラシやフロスを上手く使えるような指導を行うことで、

解決することが可能です。

 

歯間ブラシやデンタルフロスが定着しない場合には、

その原因を患者様からよく伺ってみたうえで、指導を進めるとよいと思います。

 

 

 

指導で困ったときの対応

 

プラークコントロールが良好でない患者様に指導をしようとすると、

「自分ではしっかり歯磨きしているつもりです。」と切り返されてしまって、

どのように指導を進めていけばよいのか困ってしまう、

という相談を受けることがあります。

 

歯周病が進行している患者様や、齲蝕が多発している患者様であれば、

衛生士としては引き下がれません。

 

そのような場合、私は術者磨きをすることで、

ご自身のブラッシングでは不十分であることを認識していただくようにしています。

プラークが付着している部位は、しっかり歯ブラシを当てて、

プラークが落ちるまでブラッシングを行います。

「自分では、そこまで歯ブラシが届いていませんね。」

「そんなに丁寧には磨いていないです。」

と、多くの患者様がブラッシングが不十分であることを自覚されます。

 

その際に気をつけていることは、

できていることやよいことについては、しっかり評価をして、支持するということです。

プラークコントロールが比較的良好な部位の術者磨きをしながら、

「この辺りは歯ブラシがよく当たっています。

 私が歯磨きをするのと、ご自身で歯磨きをするのとは、同じような感覚ですよね。

 ここは○○さんが得意なところで、頑張って歯磨きをされている成果が出ていますよ。」

と、できていることに対しては、言葉に出してしっかり評価するようにしています。

 

このように、患者様が「頑張っている」という気持ちを受け止めて、

術者磨きを効果的に取り入れながら指導を進めると、

ブラッシングの見直しの必要性を受け入れていただきやすくなると思います。

 

 

 

 

 

オーバーブラッシングへの指導

 

ブラッシング圧の強い患者様への指導では、

力を抜いてもらうことに苦労する場合があります。

 

術者磨きで適切なブラッシング圧を理解してもらう、

歯ブラシが広がらない程度の力加減を目安にしてもらう、

などの工夫をしても、なかなか力が抜けない患者様もおられます。

 

力を抜くコツは、歯ブラシを軽く持つことです。

歯ブラシを軽く持つと強い圧がかからなくなり、オーバーブラッシングが解消されます。

 

プラークコントロールセミナーでは、前述のような臨床で遭遇する困難場面での指導方法を

具体的にお伝えするようにしています。

 

 

 

 

デンタルフロスの指導

歯ブラシでのブラッシング方法の指導

歯間ブラシの指導

デンタルフロスの指導

ワンタフトブラシの指導

 

プラークコントロール指導の中では、

私はデンタルフロスの指導が一番難しいと感じています。

 

臨床ではホルダータイプのフロスを指導する機会が多いのですが、

フロスの挿入方向が上手く設定できていない場合が多いように思います。

 

フロスは挿入しようとしている隣接面と平行になっていると

歯間部にスムーズに挿入できます。

 

Y字型のホルダータイプのフロスでは、

前歯部と臼歯部でホルダーの向きが大きく異なります。

 

患者さんには、ホルダーの向きの違いを見てもらいながら

挿入方向を理解していただくように指導しています。